こんにちは、移住プランナーの移る夢(いるむ)仲西です。
酪農大国と呼ばれる北海道では、酪農の仕事に憧れて移住する人もたくさんいます。広大な牧草地のなかで、牛と寄り添った暮らしに憧れる人も多いでしょう。
でも移住プランナーである私のところには、どのようにして酪農の仕事を始めたら良いのか見当がつかない、といった意見も寄せられています。
そこで、国内初の移住プランナーとして、10年の経歴を誇り、400件以上の移住相談に応じた経歴を持つ私が、酪農で就農するための3つの道をご案内しますので、ご参考にしてみて下さい。
■目次(クリックすると飛びます)
オススメ酪農職業体験ツアーはこれだ!
全国の牛乳のおよそ半分を生産する北海道では、酪農体験の出来る施設はたくさんあります。しかし、酪農を職業と考えるのならば、搾乳体験や子牛にミルクを飲ませる等の観光向け体験ではだめです。
酪農を職業と考えている人に、絞りたての牛乳を試飲する体験は必要ありません。もしも、本格的な体験をしたいのならば、牧場に宿泊し、牛舎の清掃等が経験できる体験がオススメです。
そこで、移住の専門家の私が、酪農を職業として考える人にとってオススメの体験ツアーを、3つご紹介いたします。それは
- 足寄町「移住体験モニター」
- 豊頃町「豊頃町インターシップ」
- 幕別町「大人の酪農体験」
です。
足寄町「移住体験モニター」
地域:足寄町
体験名:移住体験モニター
開催主体:一般社団法人びびっどコラボレーション(足寄町移住サポートセンタ-)
「放牧酪農推進のまち」を宣言している足寄町では、酪農体験が出来る移住体験ツアーを実施しています。特に、舎飼いではなく放牧酪農に興味ある人は、直接酪農を営む農家さんと接するチャンスです。実際に移住し酪農家となった人にも会うことが出来ます。
参加料は無料ですが、最寄りの駅や空港までは実費となります。
豊頃町「豊頃町インターシップ」
地域:豊頃町
体験名:豊頃町インターンシップ
開催主体 : 事業主催/豊頃町総合プロモーション推進協議会(ココロコテラス)
道外からの参加者は、3万円を支払うことで、ツアー期間中の宿泊費や食費だけでなく、羽田空港から往復交通運賃も含まれます。2泊3日のツアーでは、酪農だけでなく漁業や畑作、商工業等も体験できます。
幕別町「大人の酪農体験」
地域:幕別町
体験名:大人の酪農体験
開催主体:ワンダートランスポートテクノロジーズ株式会社
大人の酪農体験は、幕別町のi-ふぁーむ(岩谷牧場)に宿泊しながら、牛への授乳、朝夕の搾乳といった酪農体験が出来る2泊3日のツアーです。また、家畜市場や屠畜場もツアーコースに組み込まれており、牛肉として食べるまでの過程を学ぶことも出来ます。
参加費80,000円(帯広空港発着) には、ガイド料、宿泊費、食事代が含まれます。若干、他のツアーと比較し費用は高いですが、通常では体験が出来ないことがたくさん盛り込まれています。
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資金面の準備が重要
酪農で新規就農を目指すのならば、資金面の準備が大切です。北海道では、酪農で新規就農した半数以上の人が、新規就農の為に5,000万円以上の投資をしていると公表しています。
さらに、北海道の酪農では、1戸あたりの飼養頭数は年々増加傾向にあり、投資金額も高くなっています。
酪農で就農する際、投資額が大きくなる背景には、畑作とは異なり大型の飼養・搾乳施設、飼料作物を保管するための施設が必要であり、また飼料作物を収穫するための大型農業機械等を購入しなければならないからです。
そこで、就農時の資金面の準備には、国や北海道、自治体等の助成を上手に活用する必要があります。就農準備段階・就農後の支援制度では、国が実施する「農業次世代人材投資資金(経営開始型)」及び「青年等就農資金」があります。
農業次世代人材投資資金(経営開始型)は、認定新規就農者に年額最大150万円を、就農後5年間交付され、青年等就農資金は認定新規就農者に最大3,700万円を無利子融資が受けられます。
⇒農業次世代人材投資資金についてはこちらから
⇒青年等就農資金についてはこちらから
また、多くの自治体では、新規就農者に対する就農一時金制度を設けています。例えば、厚岸町では新規就農者(酪農)への支援として、新たに酪農業に就農する場合に、5年間奨励金を支給しています。
奨励金の金額は、就農に必要な農地、設備及び乳牛の賃貸料の50%です。
さらに、北海道では低金利(貸付当初5年間無利子)の「農業経営基盤強化資金」を実施しています。ちなみに、助成制度には年齢制限がありますので注意が必要です。
近年では、新規就農者に対して、牧場をリースする事業を進める自治体もあります。
一定期間、施設や乳用牛を貸し付けて、リース期間終了後は売り渡すことになりますが、新規就農者にとっては初期投資が抑えられ、リスクを軽減することもできます。
酪農で就農するための3つの道とは
酪農で就農を目指す人にとっては、実地経験で基礎を学ぶことが一番です。そこで、酪農家になるための必要な知識や経験を積むための手段として、3つの道をご紹介いたします。それは
- 人材派遣会社から牧場で働く
- 地域おこし協力隊として牧場で働く
- 自治体の研修制度に申し込む
です。
人材派遣会社から牧場で働く
地域:浜中町
事業所名:株式会社牛や
勤務場所:加盟会員の10牧場
酪農に特化した人材の派遣を行っています。加盟会員となっている牧場主に代わり、朝・夕の乳搾り、餌やり、牛舎の掃除といった、牧場の基礎的な仕事を行う人材を派遣します。
「株式会社牛や」さんでは、人材や後継者不足に悩む牧場との橋渡しだけでなく、未来の酪農家の育成にもつなげています。酪農に対して目標が決まっている人は、多くの酪農家を見ることが出来るメリットがあります。
地域おこし協力隊として牧場で働く
地域;せたな町
事業所名:せたな町役場
勤務場所:北部檜山酪農ヘルパー組合
概要:年齢20歳以上、おおむね45歳までの方・月収報酬208,000円~300,000円
搾乳作業、給餌、牛舎の清掃の他にも、生乳衛生管理の経験も出来ます。様々な仕事を経験できるので、酪農を仕事にすることに不安がある人には有難い経験をする事が可能です。
また、契約期間は3年と決められているため、次へのステップにすることが出来ます。
自治体の研修制度に申し込む
地域:標茶町
事業所名:標茶町担い手育成協議会
勤務場所:町内の受入れ農家
標茶町は、全国の町村で6番目にあたる広大な面積を誇る酪農の町で、新規就農までのサポートを受けることが出来ます。原則40歳以下の夫婦で新規就農を目指す人と、単身者で法人への 就農を目指す人の、2つの支援制度があります。
新規就農を目指す夫婦の支援制度では、適格を見極める期間として、最長6ヶ月の体験研修を行い、その後原則2年間の新規就農研修を実施し、終了後は離農跡地での新規就農をいたします。
一方で、単身者の法人就農を目指す支援制度も同じく、体験研修の後に、最長2年間の実施研修を行い、終了後は町内の法人等に新規就農いたします。
まとめ
今回は、北海道で酪農の仕事をする方法についてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?北海道で酪農の仕事に就くためには、自治体の支援を効果的に活用するのが近道と言えます。
しかし、酪農で就農する道は容易いものではありません。氷点下にまで気温が下がった朝、日の出前から牛の世話をする光景を、TVで見たことがありませんか?
酪農の仕事は、労働時間も不規則で肉体労働です。
それでも、酪農の仕事に憧れる人が多いのは、魅力がたくさん詰まっているからでしょう。酪農を営む人は「家族として牛を迎え入れている」と話します。酪農家は牛とコミュニケーションをとりながら、美味しい牛乳を作り出しているのでしょうね。
酪農家への道は決して容易くありませんが、きっとそこには生き物と暮らす感動があるはずです。最近では、酪農で就農を目指す人のサポート体制も充実してきています。
それが困難な道ならば、一歩を踏み出さないと、その先を見ることは出来ません。ぜひ、酪農に憧れるのならば、その道を踏み出してみてください。
「The life is only once(人生は一度きり)」。
皆さまに、素敵な移住生活が訪れることを願っています。
最後までお読み頂きありがとうございました、移る夢(いるむ)仲西でした。