こんにちは、吉川 百です。
高価な家電製品は何十年と長く大切に使うもの、あなたはそんなイメージを持っていませんか?
でも、この家電製品を長く使用し続けることのリスクが近年、しきりに呼びかけられているのです。
それは経年劣化による事故が増えているためなんだとか。
確かに、少しくらいの不調があっても、まさか大事故になるとは思わずにそのまま使うということは、よくあることかもしれません。
しかし、今回話題にします家電製品の経年劣化による事故について知っていただければ、あなたの意識にもかなり変化が見られることでしょう。
私は毎日家族の洗濯をしていますから、洗濯機の変化に気づくことはできても、実家で親たちが使っている味わい深い扇風機の危険はなかなか察知できません。
あなたと一緒に家電の寿命や劣化の兆候などについて学び、身の回りから危険やトラブルを取り除きたいと考えています。
どうぞあなたもこれを良い機会に、長年お使いになっている家電製品をチェックしてみてくださいね。
■目次(クリックすると飛びます)
家電製品ごとの寿命の特徴
家電には、その種類によって劣化や寿命に特徴がありますので、解説いたします。
■扇風機・換気扇
- スイッチを入れても、ファンが回らない。
- ファンの回転が異常に遅い、または不規則である。
- モーター部分が異常に熱い。
■洗濯機
- 脱水の途中にフタを開けても、15秒以内に運転が止まらない。
- スイッチを入れても動かない。
■照明器具
- 照明が点滅したり、急に消えたりする。
- 煙やガスが出る。
- 焦げた痕や変色しているところがある。
■エアコン
- 電源のブレーカーが頻繁に落ちる。
- 室内機から水漏れがする。
■冷蔵庫
- よく冷えない。
■ブラウン管テレビ
- スイッチを入れても映像や音が出ない。
- スイッチを切っても映像や音が消えない。
- 上下左右の映像が欠けて映る。
- 電源プラグが異常に熱い、または変色している。
■家電全般
- 焦げ臭いにおいがする。
- 異常な音や振動がする。
- 電源コードにキズや破れがある。
- 電源プラグが異常に熱い、または変色している。
いかがですか?
あなたのお宅の家電に、上記のような症状は見られないでしょうか。
焦げ臭いにおいがしたら、さすがに怖いとお思いになるかもしれませんが、エアコンなどについては、経年劣化が原因だとは思わない場合もありますよね。
家電製品に何か不調を発見して判断がつかなければ、メーカーまでお問い合わせされることをおすすめします。
そして、家電は使用していなくても劣化が進みます。
使用頻度が低いから安心ということはありませんので、ご注意くださいね。
また、同じ製品でも、使用状況・環境によって劣化の進み具合や寿命が違ってくることがありますので、その点も注意が必要です。
経年劣化による家電製品の事故例
経年劣化が原因の家電製品による重大事故は、平成19年5月~27年3月までの間に279件の発生が報告されています。
どのような事故が起きているのか、例を挙げてみましょう。
報告されているうち、事故例中9割が30年以上使用、ひどい例では家屋全焼の事故に。
・1970年製の扇風機が出火し、80代の夫婦が一酸化炭素中毒で死亡した事故の報告がありました。
2007年10月福岡県、視聴中にテレビから突然煙が上がり、火花が出る事故。
長期使用で内部の巻線同士がショートしたことが原因だったといいます。
2007年12月愛知県、テレビのスイッチをつけたところ、音がして発煙、中を覗くと炎が見えたという例も。
この事故は、内部でホコリが長年にわたり蓄積していたことが原因でした。
引き紐で照明器具のスイッチを入れた時に照明器具から出火、周辺が焼ける事態に。
この事故例では、器具内部の部品(コンデンサー)の劣化が原因と判明。
扉の開閉をくり返すことにより、徐々に内部の電気配線が切れて発熱し出火する例が多数。
2011年5月、使用中の食器洗浄機が出火、経年劣化によりドアの固定部が破損し、付近のリード線に外からの力が加わったことでリード線が断線したためだったといいます。
2013年4月 長崎県で食器洗浄機使用後に外出、帰宅し火災発見した例では、洗浄水がファンモーター内部に侵入していたことが判明。
天井裏にある電気コードなどに接触不良が起きて発熱し出火。
三洋電機(現・パナソニック)製で、過去にリコールされた商品をそのまま使用していて出火、周辺が焼ける事故に。
ちなみにこのシェーバー、事故が起きた時点での回収率は95パーセントに上っていたとか。
とにかく事故報告例の多いのは、古い扇風機です。
スイッチのオンオフが頻繁な機器で、暑い時期に長時間使用を長年続けるからなのでしょうか。
それでいて、完全に使えなくなってしまうということが少ないようで、油断して使用を続けて出火、重大な事故につながる例が後を絶たないのです。
ここで、少し怖いですが、使い古いした扇風機が発火する動画をご覧ください。
大事にお使いの古い扇風機・・・そこに潜む危険
愛着のある家電製品を長く使いたいけど
消費者庁が1800人の成人男女を対象に調査した結果によると、1800人のうち177人が買ってから20年以上経った扇風機を使用していると答えたといいます。
ちなみに、うち59人は、いつ買ったものかわからないと答えたのだとか。
しかも、177人の中の3割の方は、スイッチを入れても羽が回らないとか異常な音がするなどの不調を感じたことがあったといい、そのまた半数以上はそれでもなお使い続けたと答えています。
- まだまだ使える、もったいない。
- 短時間の使用だから良い。
- 不調を感じたからといって、すぐに危険とは思わない。
というような理由で、皆さん扇風機など家電製品の不調を見過ごしているようですね。
物を大切にしたい、長く使いたいと思う気持ちは素晴らしいものですが、それによって取り返しのつかない事故を招いてしまったら、尊い気持ちも台無しになってしまいます。
扇風機・エアコン・換気扇・洗濯機・ブラウン管テレビの5つについては、事故件数が多いため、設計上の標準使用期間と経年劣化についての表示が義務付けられているのをご存知でしょうか。
制度導入後に製産されたこれらの製品には、わかりやすいところに具体的な年数が表示されていますので、点検・買い替え時期の目安になさってください。
また、家電製品や電源コードの、あるいはその周辺のお掃除をこまめにしましょう。
埃が原因の出火報告も多いといいますよ。
ただ、あくまでお手入れは説明書などに従い、勝手な判断で分解するなどの行為は、危険ですので絶対にやめてください。
まとめ
特に高齢の方を拝見していますと、まだ使えるのに買い換えるのはもったいない、あんなに高価だったものが、たった数年で買い替えが必要だなんておかしい、などと考える傾向が強いように感じます。
確かに現代は大量消費社会です。
次から次に物を消費していくことに対する違和感というのは、つきまとう物欲に相反して、やはりお持ちの方も多いのではないでしょうか。
ただ、家電製品の経年劣化や誤使用による火災などの報告例は、実際に数が多いのです。
わが家の洗濯機、実は買い換えて間もないのですが、スイッチ類に並んで、標準使用年数が7年と表示されています。
これが表示義務があるからだと知らなかった私は、今は不景気でメーカーも大変だから、こんなふうに買い替えを促しているのかなあなどと、のんきに考えていました。
今後は、家電製品周辺のお掃除により気をつけながら、使用年数も頭の片隅に入れておきたいと思っています。
そして、ご高齢者家庭では、今回お伝えしたような事実や危険をご存知ない場合も多いかもしれません。
あなたご自身に加えて周りの方にも、この家電経年劣化の恐ろしさを、どうか教えてさしあげてください。
最後までお読み頂き、ありがたく思います、吉川 百でした。