こんにちは、吉川 百です。
東日本大震災・熊本地震や台風・豪雨による大規模な水害・土砂災害が続く日本。
防災意識が高まる中、あなたは災害時のペットの避難についてきちんと考えていますか?
緊急時には人命が優先だからやむを得ず家に置いていき、後で連れに行けば良いのではないか、そんなふうにぼんやりと思い描いてはいませんか。
避難の模様を中継するニュース映像にはいつも、不安げなペットたちの表情が印象深く映されていますよね。
あなたのペットへの愛情や責任が問われる大切な同行避難問題。
日頃の訓練や備えがポイントになりますので、今回はペットとして人気を二分する犬と猫に焦点をあて、詳しくご紹介します。
しかし実際に災害に遭わないと、同行避難の訓練が大切だという実感がわかないかもしれませんね。
こちらの動画をご覧頂くと、普段の訓練がいかに大切かおわかりになると思います。
■目次(クリックすると飛びます)
ペットと同行避難するための訓練とは
ペットと一緒の避難訓練は、あなたの心がけしだいで自ら率先してやれることです。
しかし、行政や動物愛護を中心に活動するNPO法人などが主催する訓練に参加するとより臨場感がありますし、危機意識が高まるかもしれません。
避難訓練では、ペットの同行避難をする際の流れや注意点などの講義を聞いたり、実際に避難所での受付や行動内容の練習を体験できます。
<とあるペット同行避難訓練の主な流れ>
①自宅からは各々が避難準備をしてスタート。
名札入りの首輪やリードをつけたり、体の小さな犬や猫はケージやキャリーバッグに入ってもらって出発します。
リードやキャリーバッグ・避難準備品をいま現在設置している場所が緊急時に適しているか、このタイミングで再検討できますね。
②避難所までの道のりの中で表示や看板を確かめながら歩きます。
倒壊や破損の危険がある建物や場所のチェックもしておき、場合によって起こりうる迂回ルートも考えながら歩くと良いでしょう。
③避難所(訓練開催地)にて受付。
避難所という異様な雰囲気を経験する事で、あなたもペットも実際に避難を強いられた際には、落ち着いて受付を済ませる事が出来るでしょう。
④避難所では飼い主とペットと別行動に。
多くの場合、受付後はペットはペットのエリアでケージなどに入り、飼い主は飼い主側の避難スペースの視察や行動確認をしたり講義を聞いたりするために、別行動となります。
⑤ペットを引き取って訓練が終了。
ひと通り終わったらペットを引き取り、同行避難に役立つ資料等を受け取って終了。
同行避難訓練に参加すると、ペットと一緒に避難するための流れが実際的に理解でき、そのための心がまえができます。
ぼんやりと考えていたことが、現実の問題となって、あなたの頭と心に留まることでしょう。
他の参加者たちとの交流を通じて、理解者を得る重要性や住民間の認識の共有を図ることもできます。
パソコンやスマホで「ペット同行避難訓練開催スケジュール」などで検索し、お近くの開催予定を探してぜひ参加してみましょう。
同行避難した避難所での注意点
ペットを同行して避難できても、本当に大変なのはそこからかもしれません。
しかし、日頃から避難所でのペットの生活について物心ともに準備しておけば、きっと何とか乗り切れるに違いありません。
ここでは避難所で特に気をつけたい点をまとめてみましたので、参考にしてくださいね。
●鳴き声
ふだんもご近所への迷惑が気になるペットの鳴き声。
避難所ではスペースが限られており、避難でストレスがたまったペットの声はいつにも増して大きく感じられるかもしれませんよね。
ペットの避難スペースでお世話になるあなたの犬や猫たちに、規則正しく会いに行ってあげるなどして安心させ、なるべく大きな鳴き声を出さないような心的環境を作ってあげてください。
●臭い
人間も入浴がままならなくなる避難所生活で、ペットたちの臭いは深刻な問題です。
日頃からドライシャンプーを常備し、避難グッズの中にも入れておきましょう。
そして、平素の生活の中でも時々それを使用して慣らしてあげるのが効果的です。
先にご紹介した鳴き声もそうですが、慣れない状況に対応しきれないことが、あらゆるトラブルにつながってしまいます。
●アレルギー
ペットの毛などに体が拒絶反応を起こしてしまうアレルギー体質の人は少なくありません。
避難所には言うまでもなく色んな方たちが集まっています。
たいていの場合、ペットの寝泊りは人間の生活スペースと分けられますが、散歩に連れ出す時に周囲と言葉を交わしたり、あなたの居住スペースの近くで過ごす方たちとも細やかなコミュニケーションを取ることで信頼関係を築く努力をしましょう。
あなたの人となりを受け容れてもらうことができれば、アレルギーがある方たちもきっと、ペットを同行していることを理解して下さるでしょう。
●子どもやお年寄りに近づけない
慣れてきて友達になってしまえば別ですが、犬や猫は往々にして子どもに大きな関心を示し、時にはちょっと乱暴な仕草もします。
子どもやお年寄りには特別な配慮が必要です。
●衛生面全般に、日頃の生活から留意しておく
不妊治療や虚勢手術などの検討・実施はしていますか。
爪切りや耳垢・目ヤニ掃除などの基本的なグルーミング、排泄のしつけや狂犬病などのワクチン接種、ノミ・ダニ・フィラリアの駆除など、日頃からペットの公衆衛生問題もクリアしておきましょう。
大変な状況下で、周囲の方々に余計な負担をかけないための最低限のマナーです。
●ある程度リラックスさせるために
ペットも人間と同様、避難所で家にいるように寛ぐことは難しいかもしれませんが、散歩の途中でご近所の方と交流を持ったり、いつもとは別のケージや箱などに入って遊んだりする経験を通じて、人や慣れない環境に適応できるよう訓練しておきましょう。
人に対しての攻撃性を高めないための普段の工夫が、緊急時にペットや飼い主であるあなたを助けてくれるはず。
多少準備品に不備があっても、それさえあれば何とかなるような気もします。
ペットの心のケアも重要です!
避難したばかりの時期には、物資の調達や体調管理が急務になるでしょう。
ですが避難生活が長引けば長引くほど、大切になってくるのは、人間もペットも「心」ではないでしょうか。
先ほども触れましたが。ソフトケージやダンボールなどで作った簡易ケージに入らせるという「遊び」と同じような訓練を、時々しておくことは大切です。
避難所でケージに入ってくれなければ、避難生活は始まりません。
無理やりそこへ押し込めたあと、ストレスに弱い犬や、もっとストレスに弱い猫はどうなってしまうでしょう。
自治体によってはケージを用意できず、リードでつないでおかなければならないかもしれませんが、そうなると知らない人に対しての反応がもっと不安ですよね。
訓練と準備が何よりも重要であることをわかっていただけましたか?
ペットが嫌がらない、遊びを通じた訓練をまずは心がけてほしいことを重ねてお願いしておきます。
そして、避難所ではペットに頻繁に顔を見せてあげてください。
時間をかけてスキンシップをはかり、大丈夫だよいつも一緒だよと、必ず言い聞かせてあげましょう。
まとめ
大災害が起きた時、やむなくペットを置き去りにして、身を切られるようにつらい経験をされた方は少なくありません。
置き去りにされたペットは、幸運であれば後に救助されますが、そうでない場合は衰弱し死亡したり、野良化して繁殖・凶暴化するケースも。
ペットを買うことは命を預かること。
子どもを産む覚悟と何ら違いはありませんよね。
環境省は「災害発生時のペットの取り扱いについて、原則として飼い主とペットは同行避難を行う」旨のガイドラインをすでに発表しています。
ペットは家族ですから、何かがあった時に伴って逃げるのは当然のことといえます。
その命を守る責任を、ペット同行避難訓練を通じて、どうぞ災害時にこそ貫いてください。
あなたの真価が問われるところ、かもしれませんよ。
最後までお読み頂き、ありがたく思います、吉川 百でした。